はじめに
Science Aidとして情報発信が増えてきたこともあり、オウンドメディアを立ち上げることになりました。WordPressなど各種CMSも候補に上がりましたが、思い切ってMarkdown×GitHub×AIエージェントという組み合わせを試してみることにしました。
この記事では、その試行錯誤と実際にやってみてわかったことを共有します。
「マーケティングチームがGitHubを使う」と聞くと、少し違和感を覚える方もいるかもしれません。でも実際にやってみたら、思った以上にAIと相性が良く、これからのコンテンツ制作はこういう形になっていくのかもしれないと感じています。
なぜWordPressじゃなかったのか
WordPressは実績もあり、最初に上がった候補でした。ただ、普段からClaude CodeやCursorを使っていると「AIとの相性はどうなんだろう」という疑問が出てきました。
具体的には、ClaudeやCursorは基本的にテキストファイルで動くように設計されています。WordPressのGUIエディタだとAIに依頼してもコピー&ペーストが必要で、せっかくAIを使っていても結局手作業が多くなってしまう。またチームでの協業・履歴管理の取得なども、Gitでバージョン管理できるテキストベースの環境の方が相性が良いと判断しました。
仕様決定までの流れ
今回の仕様に至った経緯も実はAIと一緒に考えました。やりたいこと・要求を投げつつ、AIが目的・チーム・将来規模に応じて技術的にどう構築するかをいくつかのパターンで提案してくれました。
将来的な拡張も踏まえつつ、スピード感をもって仕様を決めていく動きも、今の時代ならではだと感じています。
※ 詳しくは下記記事を御覧ください 。
https://zenn.dev/roy29fuku/scraps/61cf1e44ea5edd
実際に作ってみたスキーム
全体の流れはこのようになっています。
- まずGitHub Issuesでコンテンツ候補を管理
- 着手する記事を決めたら各人がローカルでMarkdownで記事を執筆。(このときAIエージェントと協働します。)
- 書き終わったらPull Requestを作成してチーム内レビュー。
- 承認が出たらmainブランチにマージすると、Vercelが自動でビルド・デプロイしてくれて、数分後にはオウンドメディアに記事が公開される という流れです。
技術的には、コンテンツ管理にGitHub + Markdown、AI執筆支援にClaude Code・Cursor、フロントエンドにAstro、ホスティングにVercelを使いました。フロントエンドにAstroを選んだのは、Markdownを扱うのが得意で、静的サイト生成が非常に高速だからです。Next.jsも候補でしたが、コンテンツメディアならAstroの方がシンプルで適していると判断しました。
記事を書くときは、まずIssueに「誰向けに何を書くか」「キーワードは何か」といった企画を書き込み、AIエージェントと対話しながら執筆を進めていきます。構成提案だけでなく、文章校正やSEO最適化もAIに相談できるのが便利です。
書き終わったらGitHubのプルリクエストでチーム内レビュー。コメントベースで修正提案ができるので、やりとりがスムーズです。レビューが通ったらマージして、あとはVercelが自動でデプロイしてくれます。
実際のディレクトリ構成はこのようになっています。blogディレクトリの中にMarkdownファイルを配置し、VSCodeで執筆しています。

実際のサイトはこちらです
ブログだけでなく、イベント情報やメディア掲載情報も同じように管理しています。イベントページにはHubSpotのフォームを埋め込んで、申し込み情報を直接取得できるようにしました。すべてのコンテンツをMarkdownで一元管理することで、執筆からリード獲得まで一貫したフローを実現できています。
少しマニアックな話:HubSpotフォーム連携
MDXを使うと、HubSpotフォームの埋め込みも簡単です。コンポーネントを定義しておけば、記事内で呼び出すだけ。
import HubSpotForm from '../../components/HubSpotForm.astro'; <HubSpotForm formId="your-form-id-here" title="お問い合わせフォーム" />
イベントページの場合は、frontmatterで開催日時や申込締切を設定できます。
--- title: "ウェビナータイトル" eventDate: 2025-10-02 startTime: "12:15" registrationDeadline: 2025-10-01T23:59:00+09:00 hubspotFormId: "xxx" ---
こうした柔軟な設定ができるのもMarkdown管理の利点です。
やってみてどうだったか
GitHubを使った経験がないメンバーでも、Claude CodeやCursorといったAIツールの支えを下に無事に記事を執筆できています。
論文中の難解な表現をかみくだいたり、膨大な資料を読んだ後の構成づくりに悩む場面でも、AIを活用することでスムーズに進められるようになりました。結果として、執筆のハードルが下がり、効率的に良い記事を書けると好評です。 (GitHub自体の利用にもAIツールが支えになっていました。)
今後はマーケチームから始まったAI活用を全社に広げていきたいです。
まとめ
オウンドメディアをゼロから立ち上げるとき、従来の選択肢だけでなく、AI時代に合った形を試してみるのも良い選択だと感じました。これは単なる技術選定ではなく、AIエージェントと協働する働き方を組織に取り入れるということです。
私たちもまだ試行錯誤の途中ですが、まず前向きに試してみることが大切だと感じています。AIフレンドリーな環境を選ぶこと、マーケターも技術に触れてみること、そして小さく始めて少しずつ広げていくこと。GitHubやMarkdownは思ったより難しくなく、AIエージェントがサポートしてくれます。
新しくオウンドメディアを立ち上げたり、コンテンツ制作の仕組みを見直す機会があれば、「AIとの相性」も判断材料に入れてみることをおすすめします。
もし似たような取り組みにご興味ある方いましたらお問い合わせからお気軽にご相談ください。